Automation Case Study

メール返信の半自動化
— Slackで承認して、Gmailに下書きを作る

Gmailに来たメールへの返信案をAIが作り、Slack上で「OK / 修正」を返すだけ。承認したらGmailに下書きが保存される。運用時に人が触るのはSlackだけ。

調査・設計ドキュメント / 2026-07-01 / 前提: ChatGPTは有料サブスク(Plus/Pro等)を利用中

1. 実現したいこと(ゴール) 2. 最初の結論:ChatGPTサブスクの壁 3. 全体アーキテクチャ 4. 実装手段の比較(5パターン) 5. 技術ポイント3点 6. 推奨構成 7. コスト早見 8. セキュリティ・権限 9. 今すぐ試せる版(このデモ)

1実現したいこと(ゴール)

要望を分解すると、こういう体験を作りたい。

TRIGGER
Gmailに新着
返信が必要なメールが届く
AI
返信案を生成
ChatGPT/AIが下書き文を作る
SLACK
チャットで確認
「OK?」「ここ直して」をSlackで会話
GMAIL
下書き保存
承認された文をGmailの下書きに(送信はしない)

2最初の結論:ChatGPTサブスクの壁

サブスクのChatGPT(Plus/Pro/Team)"単体"では、この自動化は公式には組めない。 自動化でAIを呼ぶには、別課金の OpenAI API(またはClaude等)が必要になる。

理由は3つ。いずれもサブスクのGUI機能の設計上の限界。

お金の整理: サブスク(Plus $20/月 等)は「人が対話で使う権利」。自動化のAI呼び出しは「APIの従量課金」でまったく別物。ただしAPIは激安で、メール下書き用途なら gpt-4o-mini月数十円〜数百円程度(500通/月でも約25円の試算)。「サブスク代を払っているのに二重で払うの?」となるが、用途が違うので割り切るのが正解。サブスクは手動作業用、自動化はAPI、と役割を分ける。

出典: OpenAI Help (Billing settings in ChatGPT vs Platform / Tasks in ChatGPT / ChatGPT agent) ・ Zapier Help (ChatGPT on Zapier) ・ OpenAI Terms of Use ・ OpenAI API Pricing。一部は二次情報で相互裏付け(公式原文はアクセス制限で一部未確認)。

3全体アーキテクチャ

どの手段でも、登場人物は同じ。違うのは「何が全体をつなぐか(オーケストレータ)」だけ。

┌────────────┐   新着検知    ┌──────────────────┐   本文を渡す   ┌──────────────┐
│   Gmail    │ ───────────▶ │  オーケストレータ  │ ───────────▶ │   AI (LLM)   │
│ (受信箱)   │  push/polling │ Zapier/Make/n8n/  │              │ OpenAI API 等 │
└────────────┘               │ AppsScript/自前   │ ◀─────────── │  返信案を返す │
      ▲                      └────────┬─────────┘   下書き文     └──────────────┘
      │ drafts.create                 │
      │ (下書き保存)                    │ Block Kit(OK / 修正 ボタン・スレッド返信)
      │                               ▼
┌─────┴──────┐   承認/修正指示  ┌──────────────┐
│   Gmail    │ ◀────────────  │    Slack     │  ← 運用者が触るのはここだけ
│  下書き    │                └──────────────┘
└────────────┘

4実装手段の比較(5パターン)

手段Gmail検知Slack承認難易度月額目安向き
① Zapierポーリング(最短1分)標準アクション Request Approval$19.99〜とにかく最速で作る
② Makeポーリング(最短1分)2シナリオ自作★★★$9〜12安く大量処理
③ n8nポーリング標準 Send&Wait★★★自前=無料 / Cloud $20〜承認が標準で安い
④ Apps Scriptポーリング(最短1分)Webアプリ自作★★★無料(+API)Google内で完結・単一ユーザ
⑤ フルカスタム
Workers/Node + Bolt
push可(数秒)Bolt自作★★★★★無料〜$5(+API)最速・自由・複数ユーザ

共通事項:AI生成ステップは全手段で別途必要(LLM課金は上の月額とは別)。「送信せず下書き保存」は全手段で可能。Slackのボタン待ちには必ずSlackからのHTTPを受けるエンドポイントが要る(Zapierは内部で肩代わり)。出典: Zapier / Make / n8n / Google Workspace / Slack 各公式ドキュメント。

5技術ポイント3点

① Gmail新着検知

ポーリングmessages.listを定期実行。簡単・遅延1分〜。

pushusers.watch→Pub/Sub→自前HTTPS。遅延数秒だがGCP設定が必要で、watchは7日で失効→定期再登録が要る。

SaaS系のGmailトリガーは実質すべてポーリング。pushはフルカスタムのみ。

② Slack承認UI

Block Kitのボタン(action_idで識別)かスレッド返信で「OK / 修正」を受ける。

押下を受けるにはInteractivity Request URL(公開HTTPS)が必要。n8nはSend and Wait、ZapierはRequest Approvalが標準でこれを内蔵。

Workflow Builder単体ではGmail下書き作成の標準ステップが無く、結局カスタムが要る。

③ Gmail下書きAPI

メソッド:users.drafts.create

最小スコープ:gmail.compose(下書き作成に十分/受信箱全体の変更権は不要)。新着readも要るなら gmail.readonly を併用。

Apps Scriptなら GmailApp.createDraft() で同等。

6推奨構成

いちばん手軽 → Zapier おすすめ

Gmail「New Email」→ AI(Claude/OpenAI)で下書き生成 → Slack「Request Approval」でOK/修正ボタン待ち → Gmail「Create Draft」。

  • 承認アクションが標準、エンドポイント自前ホスト不要
  • ノーコード・最速。Professional($19.99/月)前提
  • 遅延1〜2分・タスク課金が許容できれば最良

次点で安いのは n8nセルフホスト(Send&Wait承認が標準・実行課金ゼロ、要サーバ運用)。

いちばん柔軟 → フルカスタム

Cloudflare Workers/Node + Gmail watch+Pub/Sub + Slack Bolt + drafts.create

  • push検知で遅延数秒、UI・修正ループを自由設計
  • gmail.compose最小スコープ、複数ユーザ・大量対応
  • 代償は実装/保守コストとOAuth/Pub/Sub/署名検証の知識

雛形コードを worker-sample.js に同梱。

7コスト早見

費目金額備考
ChatGPTサブスク$20/月〜手動作業用。自動化には使わない(使えない)
OpenAI API(自動化のAI)月 数十円〜数百円gpt-4o-mini。500通/月でも約25円の試算
オーケストレータ0〜$20/月Zapier $19.99 / n8n自前=無料 / Apps Script=無料 / Workers=無料〜$5
Gmail / Slack0円API利用は無料枠内
最小構成なら A, apps scriptやWorkers + OpenAI API で「月ほぼ0円〜数百円」。最速で作るなら Zapier で 月約3千円

8セキュリティ・権限の注意

9今すぐ試せる版(このデモ)

実は「AI + Gmail + Slack」がそろった環境なら、コードを書かずに今日から体験できる。このドキュメントを作っているClaude Code自身が、その最小デモになっている。

デモ構成(Claude Code常駐型)

1
Gmail読取
Claude が受信メールを取得(実証済み)
2
下書き生成
Claude が返信案を作成(ChatGPTの代わり)
3
Slackで承認
Slackに案を提示 →「OK / 修正」を返信
4
Gmail下書き
承認後 create_draft で保存
調査2件(ChatGPTサブスクの自動化制約 / Gmail→Slack承認→Gmail下書きの実装手段)を統合。数値・仕様は2026-07時点の公開情報に基づき、一部は二次情報で相互裏付け。実装前に各サービスの最新Pricing/仕様の再確認を推奨。
同梱ファイル: index.html(本書) / worker-sample.js(フルカスタム雛形) / 調査メモ.md(出典付き原データ)